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ソースを当たれ!!

 ご訪問ありがとうございます。

 なんか風邪気味で調子が悪いので一日のんびりしてやろうと思っていたのですが、一通の迷惑メールから思考が広がって半日がかりで調べものをしてしまいましたorz 疲れた・・・

 何に興味があったかと言うと、「フラーレン配合石鹸で輝く美肌に!!」と言う趣旨のダイレクトメールです。以前のエントリでもご紹介した通り、フラーレンは60個の炭素原子がサッカーボール型に結合した分子で、物理的には極めて安定である事が知られています。んなもん、石鹸に入れたからってどうなるんだよってことで調べてみました。

 フラーレンは化学的には非常に活性な分子なのだそうで(私は物理屋なのでよく知らない)、フラーレンの一部に様々なものをくっつけることが出来(フラーレン誘導体)そのついた余分なものの性質により、複雑な反応を誘起することが出来るために色々な応用が考えられ、研究も非常に盛んなようです。私にはあんまりわかりませんが、サッカーボールの周りに飾りがついた感じでしょうか(↓一例)

f1.png
Figure 2-1. フラーレンカチオンとその反応

 で、フラーレン配合をうたった化粧品ですが、主な効用は抗酸化作用のようです。肌上の油が酸化する事によって肌荒れなどが起こるようなのですが、この辺は専門じゃないのでよく分かりません。この抗酸化作用、くっ付いている飾りの分子により色々と程度が違うようで、中には過酸作用を持つ誘導体も存在するそうです。

 ざっと調べた所では、一部のフラーレン誘導体に抗酸化作用があると言うのは、化学的に検証されており疑いはなさそうです。癌治療や遺伝子治療など難病の治療、抗ウィルス剤の製造など医学分野での研究が精力的になされているようです。ただ、美肌作用や美白作用があると言う報告例は見つけることは出来ませんでした。一口にフラーレン誘導体と言っても非常に多くの種類があり、反応はそれぞれ違うのですから、化粧品にフラーレン入りとだけ書かれていては何が効くのかはっきり判別できません。と言う訳で、フラーレン入化粧品に効果があるかないかの判断はまだ保留、現時点では懐疑的と言うのが私の結論です。

 学生時代、何人もの先生に繰り返し繰り返し教え込まれたのは、何かを判断する場合、情報はソースを当たれと言う事です。引用元をきちんと当たらず孫引きを信じるべきではないし、信頼できるソースであるかどうかをよく考えよ、と。

 美容健康系の情報はすぐさま経済効果に結びつく物なので、未検証のものでも商用宣伝によってあっという間に広まってしまいます。後で反証されてもそのまま「常識」としてまかり通ってしまっているものは多々ありますよね。なので「○●にはコレが効く!」系の情報には飛びつかない事に決めています。

 つまり、何が言いたいかと言いますと「ソースに当たれ!」ってことで、お後がよろしい様で・・・
 m(_._)m


画像お借り先
三重大学大学院工学研究科有機機能化学研究室
ttp://photon2.chem.mie-u.ac.jp/web/index.php?page=22

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