物語の国
日本は、物語の国だと思うのです。
実は少し前から書こうと思っていたエントリーなのですが、中々出すタイミングがなくて延び延びになっていたものです。今、この時ですから相応しい話題だと思いまして、書いてみる事にしました。
日本が今の「日本国」になったのは大体千数百年前と言う事に異論はないと思います。魏志倭人伝に書かれた「倭国大乱」が収まった辺りからが日本国の始まりな気がしますが、東北だの九州だのが入っていないのでまあおいておくとして、それでも人種的にはいわゆる「倭人」ばかりが住んでいたのは間違いない様で、精神文化や民族風習など一万年以上も前からこの島国に私たちは土着民として暮らしてきたのです。
途中、弥生系の流入がありましたが、数百年程度の短い期間で元からいた縄文人と混血をしてしまい、今の日本人が出来上がった様です。ここで興味深いのは日本の建国神話です。天孫として降臨した天津神の一族は、土着の神であった国津神を追い払って日本の支配者となりますが、この根幹になっているのが「国譲り」です。普通、建国神話って、「土着の野蛮人を戦いで追い払って国を平定した英雄が王となった」みたいな話が多いですよね。それが事実と異なっていたとしても、国をまとめる神話として、支配者の英雄譚が語られるのはごく一般的な事だと思うのです。なのに、日本の建国神話は「話し合って譲ってもらった」となっているのです。それが事実ではないとしても、当時の支配層が建国神話としてその方が都合が良いと思ったと言う事が重要です。「力で奪う」よりも「譲ってもらう」の方が、より人々の心をつかむと考えたと言うのは非常に興味深い事です。
そう言う点からしても、日本人が本来あまり戦いを好まない民族なのは事実だと思います。この狭い島国で、国土の七割が利用できず、台風・洪水・豪雪・地震・噴火が頻繁に起き、夏は亜熱帯・冬は亜寒帯と言う厳しい環境の中で、戦いよりも協調を選んだ人々のみが生き残った結果なのかもしれません。この長い歴史の中で、戦争の記録はほとんどありません。外国との戦争は古代と近代に数回、内戦の記録も国中を巻き込むような大きなものは数える程しかありません。京都の人に「この前の戦争」のことを聞くと応仁の乱のことだったりして、歴史の長さに比べると驚く程戦いが少ない国なのです。
しかし、その割には、日本人は合戦物語が大好きです。源平合戦や平家物語、戦国武将達の物語、幕末の志士達など、昔から繰り返し繰り返し語られて現代に伝わっています。今でも大河ドラマやゲームなどで語られ続けていますしみんな大好きですよね。戦いだけでなく、仇討ちなんかも好かれています。これは戦いを避けるための知恵であると同時に、戦い方を忘れないようにするための知恵でもあると思うのです。幕末、270年に及ぶ江戸幕府の支配で単なる官僚になり切っていたはずの藩士や旗本達は、まるで戦国時代の武士様に戦ったと言う事です。特に会津藩など、殿の足手まといにならないようにと奥方・腰元・侍女に至るまで決戦の前に全員で自害したそうですし、城を守るために男達も城を枕に討ち死にしようと決死の覚悟で戦ったそうで、物語の中にだけ残っていた「武士道」を、国の一大事に体現してみせたのです。
また、明治維新以降は、国民の教育にも武士道が取り入れられ、兵隊となった多くの日本男児が「お国のために」露と散っていったのも、物語の力が大きかったように思います。
さらにちょっと不謹慎ではありますが、日本のエロ文献の豊富さは世界に類を見ないものです。江戸時代、ヨーロッパですら一般的でなかった七色刷りの技術も、役者絵(今で言うとアイドルのブロマイド)や春画(エロ画像)の為に発展したと言えますし、国民の実に七割近くが読み書きできたと言うのも、黄表紙(ほとんどエロ本)を読むからだったりして、日本人のエロ妄想にかける情熱は凄まじいものがあります。今も漫画や同人、ネットなどはエロ絵&エロ話で溢れていますし、ロリ・触手・BLとバリエーションも数えきれない位ですし、日本独自の文化と言って良いでしょう。また、萌絵の様に直接的ではなく間接的なエロの方がより尊ばれると言うのも日本人的ですよね。つまり、妄想の余地がある方がみんな好きって訳です。
それなのに、日本人の性犯罪発生率は世界でも類を見ない程低いのです。物語の中には変態で溢れているのに、それを実行に移す人間はごく少数派だと言うのは、とても興味深い現象です。他の先進国でもポルノ情報が多く手に入れられる程、性犯罪率が低くなる傾向があるそうですが、日本人は特にこの傾向が顕著だと思います。
さて、今の日本は未曾有の危機を迎えています。古より語り継がれてきた「物語」を今こそ思い出して、頑張る時だと思うのです。人の和を大事にする、目先の利益より名誉を重んじる、他人のために尽くす、など日本人の美点を思い出して、災害と戦いましょう。
たくさんの物語の中に、どうすれば良いか書かれています。日本はきっと大丈夫。頑張りましょう!
実は少し前から書こうと思っていたエントリーなのですが、中々出すタイミングがなくて延び延びになっていたものです。今、この時ですから相応しい話題だと思いまして、書いてみる事にしました。
日本が今の「日本国」になったのは大体千数百年前と言う事に異論はないと思います。魏志倭人伝に書かれた「倭国大乱」が収まった辺りからが日本国の始まりな気がしますが、東北だの九州だのが入っていないのでまあおいておくとして、それでも人種的にはいわゆる「倭人」ばかりが住んでいたのは間違いない様で、精神文化や民族風習など一万年以上も前からこの島国に私たちは土着民として暮らしてきたのです。
途中、弥生系の流入がありましたが、数百年程度の短い期間で元からいた縄文人と混血をしてしまい、今の日本人が出来上がった様です。ここで興味深いのは日本の建国神話です。天孫として降臨した天津神の一族は、土着の神であった国津神を追い払って日本の支配者となりますが、この根幹になっているのが「国譲り」です。普通、建国神話って、「土着の野蛮人を戦いで追い払って国を平定した英雄が王となった」みたいな話が多いですよね。それが事実と異なっていたとしても、国をまとめる神話として、支配者の英雄譚が語られるのはごく一般的な事だと思うのです。なのに、日本の建国神話は「話し合って譲ってもらった」となっているのです。それが事実ではないとしても、当時の支配層が建国神話としてその方が都合が良いと思ったと言う事が重要です。「力で奪う」よりも「譲ってもらう」の方が、より人々の心をつかむと考えたと言うのは非常に興味深い事です。
そう言う点からしても、日本人が本来あまり戦いを好まない民族なのは事実だと思います。この狭い島国で、国土の七割が利用できず、台風・洪水・豪雪・地震・噴火が頻繁に起き、夏は亜熱帯・冬は亜寒帯と言う厳しい環境の中で、戦いよりも協調を選んだ人々のみが生き残った結果なのかもしれません。この長い歴史の中で、戦争の記録はほとんどありません。外国との戦争は古代と近代に数回、内戦の記録も国中を巻き込むような大きなものは数える程しかありません。京都の人に「この前の戦争」のことを聞くと応仁の乱のことだったりして、歴史の長さに比べると驚く程戦いが少ない国なのです。
しかし、その割には、日本人は合戦物語が大好きです。源平合戦や平家物語、戦国武将達の物語、幕末の志士達など、昔から繰り返し繰り返し語られて現代に伝わっています。今でも大河ドラマやゲームなどで語られ続けていますしみんな大好きですよね。戦いだけでなく、仇討ちなんかも好かれています。これは戦いを避けるための知恵であると同時に、戦い方を忘れないようにするための知恵でもあると思うのです。幕末、270年に及ぶ江戸幕府の支配で単なる官僚になり切っていたはずの藩士や旗本達は、まるで戦国時代の武士様に戦ったと言う事です。特に会津藩など、殿の足手まといにならないようにと奥方・腰元・侍女に至るまで決戦の前に全員で自害したそうですし、城を守るために男達も城を枕に討ち死にしようと決死の覚悟で戦ったそうで、物語の中にだけ残っていた「武士道」を、国の一大事に体現してみせたのです。
また、明治維新以降は、国民の教育にも武士道が取り入れられ、兵隊となった多くの日本男児が「お国のために」露と散っていったのも、物語の力が大きかったように思います。
さらにちょっと不謹慎ではありますが、日本のエロ文献の豊富さは世界に類を見ないものです。江戸時代、ヨーロッパですら一般的でなかった七色刷りの技術も、役者絵(今で言うとアイドルのブロマイド)や春画(エロ画像)の為に発展したと言えますし、国民の実に七割近くが読み書きできたと言うのも、黄表紙(ほとんどエロ本)を読むからだったりして、日本人のエロ妄想にかける情熱は凄まじいものがあります。今も漫画や同人、ネットなどはエロ絵&エロ話で溢れていますし、ロリ・触手・BLとバリエーションも数えきれない位ですし、日本独自の文化と言って良いでしょう。また、萌絵の様に直接的ではなく間接的なエロの方がより尊ばれると言うのも日本人的ですよね。つまり、妄想の余地がある方がみんな好きって訳です。
それなのに、日本人の性犯罪発生率は世界でも類を見ない程低いのです。物語の中には変態で溢れているのに、それを実行に移す人間はごく少数派だと言うのは、とても興味深い現象です。他の先進国でもポルノ情報が多く手に入れられる程、性犯罪率が低くなる傾向があるそうですが、日本人は特にこの傾向が顕著だと思います。
さて、今の日本は未曾有の危機を迎えています。古より語り継がれてきた「物語」を今こそ思い出して、頑張る時だと思うのです。人の和を大事にする、目先の利益より名誉を重んじる、他人のために尽くす、など日本人の美点を思い出して、災害と戦いましょう。
たくさんの物語の中に、どうすれば良いか書かれています。日本はきっと大丈夫。頑張りましょう!
スポンサーサイト